きっと、それは偶然だった。
青い地でキョロキョロしているうさぎに出会ったのは。

でも、うさぎに出会っていなかったら、今の私はなかったに違いない。
10代から20代に変わる頃の毎日を、ワクワクとキラキラとドキドキで彩ってくれたもの。
あの日のように毎週その姿を見ることはできなくなってしまったけれど。
きっと、これからも。
26番は私の1番。
夜、もうすぐ退職する後輩からの電話。
弱々しい声で「何とか退院しました・・。」
入行した頃の元気さはどこへやら。

私が退職してから5ヶ月、ゆっくり話をする機会もなかったのだけれど、
・課長がいないタイミングを見計らって、エイセキに数字のことで詰められ続けたこと。
・毎日22時帰りが続いて体調を崩し、「今日は体調が悪いので20時半に早帰りさせてください。」と頼んだらエイセキに罵倒されたこと。
・入行1年で退職してしまう自分に対する失望感とこれからへの不安。
いろいろ話してくれた。

私が退職して2ヵ月後、先輩は体調を崩して退職した。
そして、後輩である彼女もこんなにボロボロになって退職する。
「あなたはよっぽど丈夫だったのね。」とママンは笑った。

もう、あと一息の辛抱。
桜の季節に生まれた彼女が、もう1度笑ってくれる日まで。